カーラの結婚宣言
映画「カーラの結婚宣言」のセリフで英語を学ぼう。
斬り口
ほとんど同じ発音で、全く違うことを言う方法
問題
2つのカッコには同じ単語が入ります。何が入るか考えてみてください。
場面:母親とその娘が靴を買いに来ています。店員は娘の好きそうな靴を勧めますが、母親は娘の欲しがる靴ではなく、自分がいいと思った靴を履かせようとしています。そこで店員は娘にヒソヒソ声で言います。
Clerk : She's a little uptight, isn't she? Mother : What? Clerk : It's ( ). This shoe's a little ( ).
語彙
-
- uptight
- [形容詞] ピリピリした
-
- shoe
- [名詞] 靴
解説
話の流れをおさらいしておきます。
Clerk : She's a little uptight, isn't she? 店員 : 君のお母さんちょっとピリピリしてるな。 Mother : What? 母親 : なんですって? Clerk : It's ( ). This shoe's a little ( ). 店員 : この靴は( )
店員がひそひそ声で話すので、母親は何を言ったか聞き直しています。ということは、基本的には店員は2度同じことを言うはずです。
店員のセリフを見てみましょう。主語、動詞、補語が同じ位置に来るように並べます。
She's a little uptight, isn't she? ~~~ ~ ~~~~~~~~~~~~~~~~ S V C This shoe's a little ( ). ~~~~~~~~~ ~ ~~~~~~~~~~~~~~~~
言い直しなので、基本的には同じ単語を入れればいいのですが、uptightをそのままカッコに入れることはできません。というのは、主語が She「母親」から shoe「靴」に変わっているからです。uptight は「ピリピリしている」という意味なので、主語が感情を持つ人間でないと使えないのです。
言い直しなので、同じセリフかと思いきや、似た発音の単語を使ったセリフに変わっています。
そこで、uptight に似ている発音の単語で、靴に対して使う表現を考えます。すると、up を取り払った tight「きつい」が思い浮かびます。
解答
Clerk : It's ( tight ). This shoe's a little ( tight ).
対訳
Clerk : She's a little uptight, isn't she? 店員 : 窮屈で大変だな。 Mother : What? 母親 : なんですって? Clerk : It's tight. This shoe's a little tight. 店員 : ああほら、この靴は窮屈なようですから。
注目すべきポイント
店員が娘にひそひそと母親の陰口を言って、母親が聞き返すとそれとほとんど同じ発音の単語で、陰口ではない普通の話に上手く言い直しています。非常に巧みな会話です。
She's a little uptight. ↓ This shoe's a little tight.
違うところは、she と shoe 、uptight と tight ですが、発音が似ています。
翻訳の上手さにも注目しましょう。本来 uptight は「ピリピリしている」という意味で、「窮屈」という意味はありません。しかし、母親に履く靴を決められているという状況を考えれば、娘の気持ちはきっと「窮屈」なものでしょう。それを靴の「窮屈」にかけて訳しているのです。英語の発音上の上手い会話表現を日本語の「窮屈」の多義性に変換した見事な訳出です。